副腎の疾患
副腎の疾患

人間の体には、尿をつくるための臓器である「腎臓」があります。この腎臓のすぐ上に、「副腎」と呼ばれる臓器があります。腎臓の大きさは握りこぶし1個分くらいなのに対して、副腎は1cm前後とすごく小さいです。副腎は腎臓とはまったく別の臓器で、何種類もの「ホルモン」という体のバランスを整える物質を出しています。
副腎は下の3種類のホルモンを出しています。
(1)のアルドステロンは腎臓に働きかけ、腎臓で一回尿の中に捨てられたナトリウム(塩分の材料)や水を再吸収することで、体の中の血圧を上昇させています。アルドステロンが出過ぎると血圧が上がりすぎてしまうため、高血圧になります。
またナトリウムの再吸収は、ナトリウムを体の中に戻すときに代わりにカリウムを尿に捨てて交換することで行われるため、アルドステロンが多すぎるとカリウムがどんどん捨てられてしまい低カリウム血症となります。カリウムは筋肉を動かすために使われるため、カリウムが体の中に少なすぎると脱力感や筋肉のけいれんが起こったり、ひどい時には心臓が不整脈を起こしたりします。
そのため体の中にアルドステロンが多すぎると(病名:原発性アルドステロン症)、高血圧や低カリウム血症になります。
(2)のコルチゾールは「ステロイド」とも呼ばれている物質です。ステロイドホルモンは体の中のストレスを和らげる働きをしています。そのため、コルチゾールが足りなくなってくるとストレスに耐えられなくなります。別にストレスと言っても、精神的な問題ではありません。例えば人間が椅子に座っている時、おしりの筋肉で上半身の体重を支えています。おしりの筋肉からすると、これもストレスです。
このように人間は生きているだけで多種多様な身体的負担が体の内外からかかっています。この体への負担を中和するために必要なものがステロイドホルモンなのです。また、ステロイドホルモンは血糖値や血圧、骨の硬さにも影響を与えており、血糖値を上げ、血圧を上昇させ、骨を弱くさせます。
そのためステロイドホルモンが体の中に少なすぎると(病名:副腎機能不全)、普段はかからないような風邪が発症しやすく重症化しやすくなります。その結果、軽い風邪なのに命に関わることにもなりかねません。それに、血糖値や血圧が下がりすぎて意識を失う危険性もあります。
逆にステロイドホルモンが多すぎると(病名:クッシング症候群)、高血糖・中心性肥満・骨粗鬆症・高血圧などの症状が慢性的に出てきます。またステロイドホルモンは体の中に多すぎても免疫力が低下するため、感染症にかかりやすくなったりもします。
(3)のカテコールアミンは、アドレナリンやノルアドレナリンという物質を含む総称です。カテコールアミンは体を動かす役割をしています。興奮したりするとアドレナリンが出る、という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、興奮したりして体を活発に動かすためにはアドレナリンがたくさん必要なため、運動などによって大量に分泌されます。しかし人間が生きていくためには、24時間ずっと心臓や呼吸器などを動かさないといけないため、寝ている時でも休んでいる時でもある程度は分泌されています。
このカテコールアミンが体の中でたくさん出過ぎると(病名:褐色細胞腫)、高血圧になったり体の代謝が促進されて頻脈になったり汗をたくさんかいたりします。
副腎の異常が指摘された場合、次の2つのことを考えなければいけません。
副腎の大きさや形については、一言で言えば腫瘍を疑うかどうかです。しかし、がん(悪性腫瘍)かどうかは、取ってきて顕微鏡で見てみないと分かりません(病理検査といいます)。副腎は先に述べたように、2つあるとは言っても人間の体になくてはならない臓器ですので、「良く分からないけど何かあるな」程度で取ってしまうわけにはいきません。また胃や大腸などのポリープと違って、副腎はお腹のど真ん中にあるため、カメラなどで体の負担無く検査できるものでもありません。そのため、CTやMRI画像で検査を行うこととなります。
基本的には、(B)の分泌ホルモン量が正常範囲内の場合は半年~1年に1回定期的にCT写真を撮って大きくなっていないかの確認のみをさせていただくこととなります。しかし大きさが大きく、4cm以上ある場合は、ホルモンの分泌量に関わらず悪性の可能性があったり悪性になりやすかったりするため、手術を検討することとなります。
副腎から出ているホルモン量については、血液検査や尿検査で調べることになりますが、体の興奮や時間帯などによって簡単にホルモンの量が多くなったり少なくなったりするため、午前中に30分以上ベッドで横になってもらった上で採血をすると一番正確に測定できると言われています。
画像上はさほど大きくなく、大きさは異常が認められなかったり、大きさが1cm前後で良性腫瘍(腺腫)というただ副腎が大きいだけであろうという状態であっても、ホルモンがたくさん出過ぎていて高血圧などの悪い状態が体に起こっているのであれば、それは例えがんではなくても治療対象になります。
その場合、点滴からホルモンの量を増やしたり減らしたりする作用の薬剤を入れて正常にホルモンの量が増減しているのか、それとも外部から入ってくる薬の影響を無視してたくさん出続けているのかを調べるためなどの負荷試験という精密検査を行い、診断を確定させます。
そこで診断が確定したならば、手術で副腎を取って治せるのかどうかを調べるため、今度は犯人捜しを行います。副腎のホルモンがたくさん出ている場合、左右の副腎のどちらからたくさん出ているのか、はたまた副腎以外の他の場所からたくさん出ているのかを調べ、場所の特定ができたら手術で取ることとなります。
別名「5H病(5H’s disease)」と言われ、次の5つのHで始まる症状が多いです。
また、「10%病(10% disease)」と呼ばれる特徴があります。
上で書いた(1)から(5)の症状が多くの人に見られます。特に高血圧については、高血圧の人のうち1000人に1人は褐色細胞腫であると言われています。
遺伝することもあると書いてありますが、正確には「遺伝病である次の病気の1つの症状として褐色細胞腫がある」です。
上の多発性内分泌腫瘍症はホルモンを出す臓器(内分泌臓器)の複数個に腫瘍ができる病気で、甲状腺・副甲状腺・副腎に腫瘍ができる遺伝子病です。
下のvon Hippel Lindau病は小脳・網膜・膵・腎臓・副腎などの場所に腫瘍が多発する病気です。
両方とも常染色体優性遺伝と言って、ご両親のどちらか1人がこの病気であった場合、男女関わらず50%の確率で病気を受け継ぎます。そのため、御家族に同じ症状の人がいないかどうかを調べることも重要となってきます。
基本的には腹部CT写真や腹部MRI写真で副腎の大きさや形を調べ、採血検査と尿検査でカテコールアミン(アドレナリンやノルアドレナリン)の値を調べます。その時点で疑わしければ、この時点でほぼ診断を付けることとなります。その上で、他に合併症がないかどうかを調べるため、下のような精密検査を行います。
症状の有無にかかわらず、褐色細胞腫の場合は副腎が大きくなりやすく、それに伴って中で出血しやすくなるため、褐色細胞腫と診断された場合は基本的に手術が強く強く勧められます。悪性腫瘍かどうかは手術で取ってみないと分かりませんが、良性であろうが悪性であろうが、他の副腎の病気と異なり褐色細胞腫は副腎出血(破裂)のリスクがあり、完全に破裂してしまった場合はお腹の中で出血がおこり血圧低下も急激に進むため、場合によっては命に関わることにもなりかねません。
しかし手術するにしても、血圧が高い状態で手術すると手術中に出血が止まらなかったり、悪い場所を1つであると決めつけて手術をしてしまうと後から他にも悪い場所が見つかったりする可能性があります。そのため、出来る限り速やかに検査を行いながら高血圧や高血糖の治療を行い、外科の先生と相談しながら手術の日程を決めていく必要があります。
血圧がずっと高い状態で維持されることがこの病気の特徴です。別に高血圧がずっと続くというだけではなく、「血圧が高い状態で一定のまま維持される」と言う状態です。というのも血圧の調整は副腎から出るアルドステロンやカテコールアミンが行っていますが、特にカテコールアミンは急に血圧が低くなったり高くなったりした時に出る量が多くなったり少なくなったりすることで、血圧が急に上がったり下がったりすることを防ぐバランスを取る役割をしています。
副腎から出ているホルモン量については、血液検査や尿検査で調べることになりますが、体の興奮や時間帯などによって簡単にホルモンの量が多くなったり少なくなったりするため、午前中に30分以上ベッドで横になってもらった上で採血をすると一番正確に測定できると言われています。
画像上はさほど大きくなく、大きさは異常が認められなかったり、大きさが1cm前後で良性腫瘍(腺腫)というただ副腎が大きいだけであろうという状態であっても、ホルモンがたくさん出過ぎていて高血圧などの悪い状態が体に起こっているのであれば、それは例えがんではなくても治療対象になります。
その場合、点滴からホルモンの量を増やしたり減らしたりする作用の薬剤を入れて正常にホルモンの量が増減しているのか、それとも外部から入ってくる薬の影響を無視してたくさん出続けているのかを調べるためなどの負荷試験という精密検査を行い、診断を確定させます。
そこで診断が確定したならば、手術で副腎を取って治せるのかどうかを調べるため、今度は犯人捜しを行います。副腎のホルモンがたくさん出ている場合、左右の副腎のどちらからたくさん出ているのか、はたまた副腎以外の他の場所からたくさん出ているのかを調べ、場所の特定ができたら手術で取ることとなります。
そのため、「起立性低血圧」という、立ち上がったり起き上がったときに頭に血液がいかずフラフラしたり意識を失ったりする状況になりやすいです。高血圧の治療の為に降圧薬を飲む必要があるのですが、これを飲み始めると起立性低血圧になる可能性が上がりますが、飲まないわけにはいきません。
そのため、立ち上がったり起き上がったりするときは、ゆっくりとゆっくりと十分注意をして起きるようにしてください。特にトイレに行った際は要注意です。排尿をしたり排便をすると血圧が下がりやすくなるためです。また、顔を洗ったりお風呂に入る時も注意が必要です。
加えて、副腎から出血する可能性もあります。そのため腰のあたりに激痛がして呼吸困難感が出てきた場合はすぐに救急車を呼んでください。出血の場合は緊急手術が必要となる可能性もあるためです。
後はCT写真を撮影する時に使う造影剤や、一部の吐気止めは使用することで急激に病変が悪化することがあります。そのため、当院以外の医療機関を受診されるときは褐色細胞腫が疑われていることをお伝えいただくようにしてください。
TOP