高血圧
高血圧

血圧には収縮期血圧(高い方の血圧=上の血圧)と拡張期血圧(低い方の血圧=下の血圧)があります。特に重要な方が収縮期血圧で、これが高いと脳卒中や心筋梗塞など、命に関わる疾患のリスクが上がります。
血圧は体を動かしたり緊張したりすることで上昇するため、1回測定して高いからといって不安に思う必要はありません。しかし、何ヶ月も何年も高い血圧を放置していると血管へのダメージが積み重なってしまいます。
血圧が高いと血管を勢いよく血液が流れることで、血管の壁がダメージを受けやすくなります。血管が破けると中身(血液)が外に流れ出る状態、つまり出血を起こします。脳の血管が破けて脳で出血すると脳出血です。
また、破けなかったとしても損傷した血管壁は修復する必要があります。血管壁の修復にはコレステロールが使われるのですが、これが多すぎると血管に沈着し、血管壁の中に貯まってしまいます。これによって血管は修復前より狭くなってしまい、血液の流れが滞ってしまいます。狭くなると梗塞になりやすく(詰まりやすく)なり、脳梗塞や心筋梗塞の原因になってしまいます。



『二次性』とつく疾患がいくつかあります。これは、何か原因があり、その病気の結果として起こった症状につく疾患名です。二次性高血圧なら、何か病気があり、その病気のせいで血圧が上がっている、という感じになります。
逆に単純に血圧が高いだけのことを一次性とか本態性とか言うのですが、一次性と二次性では治療方針が異なります。なぜなら、血圧を下げる内服薬を使うというところは共通しているのですが、二次性、つまり血圧を上げる病気が隠れている場合、その原因となる病気の根本的な治療が必要になってくるからです。
例えば頭痛がある場合、痛みをとるために痛み止めのカロナールやロキソニンを使います。その頭痛の原因がただの片頭痛であればいいのですが、脳出血が原因で頭痛が出ているのであれば、脳出血の治療をしないといけません。ここでは片頭痛が一次性頭痛、脳出血によるものが二次性頭痛に当たります。高血圧も同じで、血圧を上げてしまう病気がいくつかあります。
その代表的なものが、尿を作り余分な水分を排泄する腎臓の機能が落ちてしまって血管の中が水でパンパンになってしまう腎不全による高血圧と、副腎から出るホルモンがたくさん出過ぎることで起こる高血圧です。
副腎からは血圧を上げるホルモンが複数出ています。それがアルドステロンとカテコールアミンです。アルドステロンの分泌が多すぎる病気を原発性アルドステロン症と言い、カテコールアミンの分泌が多すぎる病気を褐色細胞腫と言います。
中でもアルドステロンが出過ぎる原発性アルドステロン症は頻度が高く、高血圧患者の10%前後はこれが原因なのではないか、とも言われています。褐色細胞腫は稀な疾患であり、高血圧の原因としては1%未満とされています。
アルドステロンは簡単に言えば、血圧を上げるホルモンです。血圧は「血管にかかる圧力」、言い換えれば「血管の中を血液がどれだけしっかり流れているか」ということですので、血圧が低いということは、血管に圧がかかっていない=血液が上手く流れていない状態です。
血液は酸素を運ぶ赤血球を含んでいるため、血圧が低く脳に血液が届かないと、脳が働けず意識を失います。筋肉に酸素が届かないと筋肉は働けないため、身体を動かすこともできません。ですから血圧を上げるということは非常に大事であり、生きる上で絶対に必要なことであり、血圧を上げる役割を司っているのがアルドステロンなのです。
カテコールアミンはすごく簡単に言うと身体を興奮させるホルモンです。動かないといけない時、例えば転びそうになったり車に轢かれそうになったりした時に全身から汗が出て、体が熱くなった経験をしたことがある方もいると思います。あれがカテコールアミン(アドレナリン)の働きです。戦わないといけない時や逃げないといけない時にバッと出て、体が動くようにするのです。
どちらも血圧を上げるため、ホルモンが多すぎると高血圧になってしまいます。この場合、ホルモンを分泌しすぎる腫瘍(原発性アルドステロン症は大半が良性腫瘍だが褐色細胞腫は悪性腫瘍扱いとなる)が原因となるため、高血圧の治療は内服薬ですが、根治的治療は手術で腫瘍を摘出する必要がありますので、疑わしい場合は精密検査を行います。
年齢や血圧以外の異常値を見ながら、二次性高血圧の検査を行います。検査は血液検査で行いますので、初診時は採血検査を行わせていただきます。同時に栄養指導や薬物治療を行い、血圧の低下を図ります。
食事療法は血圧を下げるために重要で、肥満と塩分摂取過多が高血圧の原因となります。また腎臓が悪くなっても高血圧になるため、腎不全の傾向がある方は腎臓保護のためにタンパク制限食などの指導を行います。薬物療法は血圧を下げる薬は幾種類もあるため、合併症や全身の状態に応じて内服薬の選択を行っていきます。
すぐに薬を始めるとは限りませんが、一度受診されることをおすすめします。血圧は体を動かしたり緊張したりすることで上がるため、1回の測定で高かったからといって心配しすぎる必要はありません。大切なのは、高い状態が続いているかどうかです。当院ではまず血圧の値を確認したうえで、年齢や他の検査結果を踏まえて、生活習慣の見直しから始めるべきか、薬による治療を検討すべきかを判断します。また高血圧では、血圧を上げる別の病気が隠れていないかを確認することも重要です。健診の結果票をお持ちいただけると、その内容をもとにご説明できます。
どちらも、その場の血圧を示しています。医療機関で高くなる「白衣高血圧」や、家庭で高い「仮面高血圧」があるため、家庭での記録も診断・治療に役立ちます。上腕式血圧計を使い、朝と就寝前に、座って安静にしてから測定してください。朝は起床後、排尿を済ませ、食事や服薬の前に測るのが基本です。記録を持参し、測定方法や値の見方をご相談ください。
一生やめられないと決まっているわけではありません。減量や減塩によって血圧が十分に下がれば、薬を減らしたり、中止を検討することもあります。特に肥満を伴う方の場合、体重が減ることで血圧が改善することはよくあります。一方で、年齢とともに血管は硬くなっていくため、薬を続けたほうが安定を保てる方もいらっしゃいます。いずれにしても、ご自身の判断で中止することは避けてください。血圧が上がっていても自覚症状がないため、気づかないうちに血管への負担が積み重なってしまいます。薬の増減については、血圧の記録と検査結果を見ながらご相談していきます。
症状がなくても、将来の脳卒中、心臓病、腎臓病などを予防するために治療する意味があります。高血圧は自覚症状が少なく、長く続くと血管や臓器に負担をかけます。ただし、治療方法は血圧の値や持病などによって異なります。当院では家庭血圧や検査結果も参考に、生活習慣の改善と必要な薬物療法を組み合わせます。
適切な体重の維持、無理のない運動、飲酒量の見直し、禁煙、睡眠なども大切です。必要な食事・運動の内容は、年齢や腎臓・心臓の状態によって異なります。タンパク質などの制限を自己判断で始めず、検査結果を踏まえて相談してください。当院では栄養指導も行い、生活に取り入れやすい改善方法を一緒に考えます。
腎臓の病気、ホルモンの異常、睡眠時無呼吸、薬の影響などによる「二次性高血圧」の可能性も考えます。若い年代で発症した場合、急に血圧が上がった場合、薬を使っても下がりにくい場合などは確認のきっかけになります。副腎に関わる原因には原発性アルドステロン症などがあります。年齢だけで原因を決めず、病歴や検査をもとに判断します。
腎機能や電解質などを確認し、必要に応じて血圧を上げる原因となる病気を調べるためです。当院では初診時に採血を行う方針を案内していますが、検査項目は症状や病歴などに応じて判断します。二次性高血圧が疑われる場合は、ホルモン検査や追加の精密検査を検討します。検査結果が出る時期や、専門施設への紹介の必要性は個別にご説明します。
いくつかの理由が考えられます。薬の種類や量が今の状態に合っていない場合、血圧を下げる薬は複数の系統があるため、組み合わせや量を見直すことで改善することがあります。塩分の摂取量が多いままだと薬の効果が出にくいこともあります。そして、まだ調べられていない二次性高血圧が背景にある可能性もあります。薬を使っても下がりにくい高血圧は、二次性を疑うべき状態のひとつとされています。他院で治療中の方もご相談いただけますので、これまでの経過がわかるもの(お薬手帳、血圧の記録、検査結果など)をお持ちいただけると、原因を絞り込みやすくなります。
はい、合わせて診療しています。高血圧、糖尿病、脂質異常症などが重なる場合は、心臓や血管への影響を総合的に考えることが大切です。すべての病気で直ちに薬を始めるとは限らず、それぞれの数値、合併症、生活状況を踏まえて治療を組み立てます。他院の検査結果やお薬手帳もお持ちください。
通院間隔は血圧の状態や薬の調整によって変わります。1回にかかる時間も、採血や相談内容によって異なるため、一律にはお約束できません。当院は予約制で、平日19時まで(最終受付18時30分)、土曜日は午前に診療しています。時間に制約がある場合は予約時にご相談ください。検査結果は当日説明できる項目と後日となる項目があります。

監修者
松尾 悠志(まつお ゆうじ)
松尾内科・糖尿病・内分泌クリニック 院長
専門領域:糖尿病、甲状腺疾患、内分泌疾患、肥満症、生活習慣病
藤田保健衛生大学(現:藤田医科大学)医学部医学科を卒業。藤田医科大学病院、豊田厚生病院、岡崎医療センターでの診療経験を経て、松尾内科・糖尿病・内分泌クリニックを開院しました。糖尿病・甲状腺疾患・内分泌疾患を中心に、将来の健康を見据えた予防医療に取り組んでいます。
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